Michael Gees
ミヒャエル・ゲース<ピアノ>
「非凡」という言葉は彼の道のりにこそふさわしい言葉なのかも知れない。音楽家の両親のもと、1953年に「音楽の響きあふれる」世界に登場したゲースは、3歳の頃にはすでにピアノがお気に入りのおもちゃだった。
その後、1961年、8歳でハンブルクのスタインウェイ・コンクールおよびザルツブルク・モーツァルテウム給費コンペティション第1位獲得。“神童”として注目を集め、ほどなくして国際的なピアニストとしての活躍を始めるが、才能にあふれた少年には『自由な音楽』への想いは痛いほど強く、15歳の時に学校も家も離れ、ひとり旅に出る。この間、2年間の船上生活も含め、多種多様な仕事を経験した。
その後、機会を得てハノーヴァーの音楽大学へ復学、即興演奏や作曲を学び、彼の『自由な音楽』と『音楽の響きあふれる』世界はついに融合した。ウィーン音楽アカデミーおよびデトモルト、ハノーファーでさらにピアニストとしての研鑽を積む一方、ジャズや作曲も手がけ、今や、作曲家、ピアニスト、そして類い稀なリート・ピアニストとして世界中で活躍している。
なかでも、テノールのクリストフ・プレガルディエンとは長年にわたり共演、ウィグモアホール(ロンドン)、スカラ座(ミラノ)、カーネギーホール(ニューヨーク)などでリサイタルを行っている。日本では、2002年〈東京の夏〉音楽祭に参加し、シューベルトの歌曲集《冬の旅》で名伴奏を披露して以来、熱烈なファンも多い。
1989年には自宅のあるギルセンキルヒェンにアーティストの集う場を、2001年には「Console Theater」を開設。音楽、演劇、ダンスを通じて、年令も性別も問わない多くの人々が、自身の芸術への想いに気づく場所となっている。また、2009年よりケルン音楽大学で室内楽(声楽)、即興演奏の指導も行なっている。
2015年9月現在